
この記事では、「パーキンソン病にどんな運動が効果的なのか?」という疑問に、最新の国際的な研究レビューをもとにお答えしていきます。
私はこれまで、理学療法士としてパーキンソン病の患者さんと数多く関わってきました。保険診療内でのリハビリはもちろん、最近では自費リハビリとして継続的な支援を希望される方も増えてきました。
でも実際、患者さんからはこんな声をよく耳にします。
• 「理学療法で運動するのは大事って聞いたけど、どれがいいのか分からない」
• 「自費リハビリを受けてみたいけど、本当に効果あるの?」
• 「自分に合う運動ってどうやって選べばいいの?」
そんな疑問にお答えするために、今回は世界的に信頼されている“コクランライブラリ”の最新レビュー(2023年)をもとに、自費リハビリの現場で活かせる情報をやさしく解説していきます。
コクランライブラリとは?
「コクランライブラリ(Cochrane Library)」とは、世界中の医療・リハビリ・健康分野の研究を集め、厳しい基準で分析・比較して公開している国際的なデータベースです。
特定の製薬会社や団体の影響を受けず、公平な立場で“本当に効果があるかどうか”を評価することが最大の特徴です。

「ネットで見かけた『〇〇に効く!』という情報、本当に信じて大丈夫?って不安になりますよね。コクランレビューは、そんな“バラバラな研究”をまとめて公平に比べてくれる、信頼度の高い情報源なんです」
つまり、
「どんな運動がパーキンソン病に効くのか?」
という問いに対して、「世界中の研究データを根拠に、信頼できる答えを出してくれる」存在なんです。
今回取り上げる2023年のレビューは、パーキンソン病の患者さん7,939人が参加した、156件の研究をまとめたもの。世界最高レベルの情報と言っても過言ではありません。
パーキンソン病に効果がある運動は?コクランレビューの結論
では、実際にどんな運動が効果的なのか?
コクランレビューでは、次の3つの点に注目して調査が行われました。
① 運動症状の改善(UPDRS-M)
② 生活の質(QOL:PDQ-39)
③ 安全性(副作用やリスク)
そして比較された運動の種類は以下の通りです。
• ダンス(社交ダンスや音楽に合わせたステップ運動)
• 水中運動(プール内での運動)
• 有酸素運動(ウォーキング、サイクリングなど)
• 太極拳・ヨガ(マインドボディ系)
• バランス訓練、姿勢・体幹トレーニング
• 複合型運動(いくつかを組み合わせたもの)
• 筋トレ、LSVT BIG
• 柔軟体操・ストレッチ



「この研究がすごいのは、たった1つの研究だけじゃなくて、世界中の“ちゃんとした論文”を156本まとめて比較している点です。だから結果にブレが少なく、現場でも信頼して使えるんです」
結果:どの運動も「効果あり」
意外かもしれませんが、レビューの結論はこうでした。
「多くの運動に一定の効果がある。明確な“1位”は決められない。」
特に改善が見られたのは以下の通りです。
運動症状の改善が見られたもの
• ダンス:効果大(信頼性が高い)
• 水中運動、バランス訓練、複合型運動:効果中等度(信頼性やや低め)
• 有酸素運動・太極拳・ヨガ:小さな改善(でも継続すれば有効)
QOL(生活の質)が改善されたもの
• 水中運動:効果が最も高い
• 有酸素運動、太極拳・ヨガ:中程度の改善
• その他はわずかな改善、またはデータ不足



「“水中運動”は、関節への負担も少なく、転倒リスクも抑えられるので高齢の方にもおすすめです。施設や地域によっては難しい場合もありますが、可能ならぜひ取り入れてみてください」
● 安全性もほとんどの運動が「比較的安全」という結果に
副作用の報告も調査されましたが、
• 転倒:18件
• 痛み:10件
• 重篤な副作用:ほとんど報告なし
という結果でした。全体として安全性は高いと評価されています。



「もちろん油断は禁物ですが、“運動は危ないからやらない”という選択はもったいないです。専門家と一緒に取り組めば、安心して始められますよ」
リハビリを選ぶ前に知っておきたい3つのこと
最近では、「専門的な理学療法士によるリハビリを受けたい」と希望されるパーキンソン病患者さんも増えています。
ですが、自費リハビリを受ける前に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
①「どれが正解?」より「どれが続けられるか」が重要
今回の研究でわかったのは、「特定の運動が一番!」というわけではなく、続けられる運動が一番効果的だということです。
たとえば…
• 音楽が好きならダンス
• 静かな運動が好みならヨガや太極拳
• 運動が苦手ならストレッチから
• プールが好きなら水中運動
どの運動も効果が期待できるからこそ、「あなたができる」「やりたい」と思えるものがベストなのです。



「“正しい運動”より“あなたが続けられる運動”が大事です。ご本人が『これならできるかも』と感じることから始めましょう」
② パーキンソン病専門の理学療法士と相談しよう
自費リハビリを受ける際には、パーキンソン病に詳しい理学療法士を選ぶことがとても大切です。
病気の進行状況や副作用のリスクに合わせて、最適な運動を提案してくれる専門家と二人三脚で取り組むことで、安全に、そして効果的に続けることができます。
③ 保険だけに頼らないリハビリの可能性
保険診療の枠組みでは、リハビリ回数に制限があったり、病院に通い続けるのが難しくなったりします。
そうしたとき、自費リハビリという選択肢があることで、「リハビリ難民」にならずに済む方もたくさんいます。
パーキンソン病の方にとって、継続的な運動こそが“症状の進行をゆるやかにする最大の薬”だという研究結果もあります。



「リハビリは“治す”ためだけじゃなく、“今の生活を続ける”ためにあるんです。特にパーキンソン病のような長く付き合う病気には、自費リハビリというものも心強い味方になります」
おわりに:理学療法×自費リハビリで、あなたらしい生活を支えます
私たち理学療法士は、パーキンソン病の患者さんが「できるだけ自分らしく、生き生きと暮らせる」ように、日々サポートを続けています。
今回のコクランレビューを通して、どんな運動でも“やれば効果がある”、そして“続けることこそがカギ”だということがあらためて示されました。
そしてその運動を「楽しく・安全に・継続していけるように支える」ことが、理学療法士や自費リハビリの役割なのだと思います。
「どんな運動をすればいいのか分からない」
「そもそも運動が続かない」
「自分に合ったリハビリを受けたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの生活や気持ちに寄り添いながら、最適なサポートを一緒に考えていきます。
参考にした文献・論文
• Ernst M, et al. Physical exercise for people with Parkinson’s disease: a systematic review and network meta-analysis.Cochrane Database of Systematic Reviews, 2023.
https://doi.org/10.1002/14651858.CD013856.pub2
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