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1.【基礎】病気の正体とメカニズム

突然の診断、そのとき心に浮かんだこと

「パーキンソン病です」

診察室で医師からその言葉を聞いたとき、あなたの心にはどんな感情が浮かんだでしょうか。 頭が真っ白になったかもしれません。「まさか自分が」と信じられない気持ちだったかもしれません。あるいは、これまで感じていた体の不調の正体がようやくわかって、少しホッとしたという方もいらっしゃるかもしれません。

家に帰り、スマートフォンで病名を検索しては、そこに並ぶ「難病」「進行性」「寝たきり」といった怖い言葉に、画面をそっと伏せてしまった夜もあったのではないでしょうか。

ここでお伝えしたい一番大切なことは、「パーキンソン病は、正体不明の怖いお化けではない」ということです。 かつては原因がわからず恐れられた病気ですが、医学が進歩した現代において、パーキンソン病は「管理できる病気」へと変わりつつあります。

敵(病気)の正体を知り、正しい武器(薬とリハビリ)を持てば、あなたはこれからも、あなたらしく生活を続けていくことができます。 まずは、あなたの体の中で今、何が起きているのか。その「正体」を一緒に見ていきましょう。

脳の中の「スイッチ」が入りにくくなっているだけ

「なぜ、手が勝手に震えるんだろう?」 「なぜ、最初の一歩が出ないんだろう?」 「なぜ、こんなに気分が落ち込むんだろう?」

こうした症状は、あなたの心が弱いからでも、年のせいでもありません。すべて脳の中にある物質の「量」の問題です。

私たちの脳の中には、「ドパミン」という神経伝達物質があります。これは、体をスムーズに動かしたり、やる気を出したりするための「ガソリン」のようなものです。 健康な人は、動こうと思った瞬間に脳からドパミンがシュッと出て、筋肉に「動け!」という指令がスムーズに伝わります。

パーキンソン病の方の脳内では、このドパミンを作る細胞が少し減ってしまい、ガソリンが足りない状態になっています。 例えるなら、「性能の良い車(あなたの体)に乗っているけれど、ガソリン(ドパミン)が少なくて、エンジンがかかりにくくなっている状態」です。

車自体が壊れているわけではありません。 だからこそ、足りないガソリンを補給し、少ないガソリンでも効率よく走れるような運転技術を身につければ、車はまた走り出します。

「薬」と「リハビリ」は、車の両輪

治療の基本は、まず「お薬」です。 足りなくなったドパミンを補う「L-ドパ(レボドパ)」などのお薬は、まさにガソリン補給です。お薬が効いている時間(オンの状態)は、嘘のように体が軽く動くことを実感されている方も多いでしょう。

「じゃあ、薬さえ飲んでいればいいの?」 実は、ここが大きな落とし穴です。

どれだけガソリンを満タンにしても、長い間エンジンをかけずに車庫に放置していた車は、タイヤが錆びつき、ハンドルが重くなってしまいますよね。人間の体も同じです。 「動きにくいから」といって安静にしすぎると、筋肉は痩せ、関節は固まり、脳の「体を動かす回路」自体がサボることを覚えてしまいます。

そこで必要になるのが、「リハビリテーション」です。

リハビリは、単なる筋トレではありません。 ドパミンが少ない状態でも、脳の別の回路を使って体を動かすための「新しい運転技術」を学ぶ場所です。 医学的には**「神経可塑性(しんけいかそせい)」**と言いますが、脳は何歳になっても、トレーニングによって新しい神経回路を作り出す力を持っています。

  • お薬 = 体を動かすための環境を整える(ガソリン)
  • リハビリ = 実際に体を動かす回路を強化する(運転技術)

この2つが車の両輪のように噛み合って初めて、進行を遅らせ、生活の質を保つことができるのです。

進行度(ヤール重症度)と向き合う

パーキンソン病には「ヤール重症度(I度〜V度)」という進行の目安があります。 「進行する」と聞くと怖くなるかもしれませんが、これは「今の自分がどの段階にいて、どんな対策が必要か」を知るための地図のようなものです。

ヤールI〜II度(軽症):
生活は自立しています。この時期に「いかに運動習慣を作るか」が、5年後、10年後の未来を大きく変えます。「貯筋(筋肉の貯金)」をする黄金タイムです。

ヤールIII度(中等度):
姿勢の崩れや、転倒のリスクが出てきます。自己流の運動ではなく、専門家の指導のもとで「転ばないための戦略」を学ぶ必要があります。

ヤールIV〜V度(重症):
介助が必要になりますが、それでも「座ってできる運動」や「呼吸のリハビリ」を行うことで、会話を楽しんだり、食事を美味しく食べたりする機能は維持できます。

どのステージにいても、できることは必ずあります。 「もう遅い」ということは、決してありません。

私たちが目指す「伴走型リハビリ」

このページの下には、パーキンソン病の基礎知識や、薬の作用、進行に合わせた対策などを詳しくまとめた記事が並んでいます。 まずは気になるところから、読み進めてみてください。

そして、記事を読んで「もっと詳しく知りたい」「今の自分の状態に合ったアドバイスが欲しい」と思われたら、いつでもリハトレスタジオ世田谷にご相談ください。 私たちは、病院のリハビリが終わった後も、あなたとご家族の人生に寄り添い続ける「伴走者」でありたいと願っています。

病気は、あなたの人生の一部ではあっても、すべてではありません。 正しく知り、正しく対策をして、これからの人生を一緒に歩んでいきましょう。