【10日間無料】PD病専門フレイル予防サロン 詳細

パーキンソン病の運動が「歩くだけ」では足りない理由

今回は、「とにかく歩きなさい」では足りない理由についてお話しします。

パーキンソン病と診断されたばかりの方が、外来で医師から最初に言われること、それが「とにかく歩きなさい」。
実際にお会いした方からもこのような助言をされた、という方は非常に多いと感じています。

確かに、動かなくなることの方が怖いですから、動き続けるというのは大前提。

でも、ここで立ち止まって考えたいのが、「歩くだけで、本当に良いのか?」という問いです。

白石

「動き続けること=歩くこと」だと捉える方が多いですが、運動の本質は“どんな刺激を体に与えるか”なんですよ。

実は、歩くだけではパーキンソン病におけるさまざまな課題に対して“足りない”です。

なぜなら、パーキンソン病の進行に影響を与える運動要素は、「柔軟性・筋力・持久力・俊敏性・バランス能力」と多岐にわたるからです。

そして最近のメタアナリシス論文でも、それぞれの運動がもたらす効果の違いが示されています 。

本記事の構成

運動の5つの柱を知っていますか?

パーキンソン病のリハビリで重要な5つの運動構成要素。それが以下の5つです。

• 柔軟性(Flexibility)
• 筋力(Strength)
• 持久力(Endurance)
• 俊敏性(Agility)
• バランス能力(Balance)

歩行運動で鍛えられるのは「持久力」や「ある程度のバランス能力」くらい。
一方で「柔軟性」や「俊敏性」「筋力」は、歩くだけでは鍛えられません。

今回はメタアナリシスの論文を紹介したいと思います。

⑴.有酸素運動

有酸素運動は、UPDRSスコアの改善に明確な効果がありました。
特に全体の運動症状とバランスの改善に寄与することがわかっています 。

白石

ダンスやステップ運動など、“楽しい”と感じる要素を取り入れた方が続けやすいです!

⑵.筋力トレーニング

筋トレは、日常生活動作の改善に大きく貢献しました。
特に四肢の筋力が落ちやすいパーキンソン病では、転倒予防の観点からも非常に重要です 。

⑶.バランス運動

バランス訓練は、歩行障害や姿勢保持の改善に効果がありました。
ただし、転倒リスクがある方には注意が必要です。研究でも、転倒のほとんどはバランストレーニング中に起こっています 。

⑷.複合運動

複数の運動要素を組み合わせた「複合運動」は、最も大きな運動症状の改善効果が確認されています。
柔軟性、筋力、バランスなどを総合的に取り入れたプログラムは、パーキンソン病のリハビリに非常に効果的です。

白石

リハトレスタジオ世田谷では、この複合型プログラムを週替わりで取り入れています!

「歩く」だけでは物足りない

もちろん、歩くことは悪いことではありません。

でも、それ“だけ”では、進行を止める力は限られるのです。

「筋力が落ちているのに、それを鍛える運動をしていない」
「バランスを崩して転倒しているのに、バランストレーニングはしていない」

こういった“ギャップ”が、症状の進行を早めてしまうリスクになっています。

では、どんな運動をすればいいのか?
以下のように、日ごとに異なるテーマで運動を行うスタイルが、特に早期の方にはおすすめです。

◾️1週間の運動プログラム ※1週間で4日実施した場合
Day1:筋トレ(下肢中心)→ 筋力・ADL向上
Day2:ダンス運動→持久力・バランス
Day3:バランス特化プログラム→転倒予防・姿勢制御
Day4:ストレッチと呼吸法→柔軟性・不安感の軽減

このようなバランスの取れた構成にすることで、運動機能全体を底上げできます。

自分に合った運動を見つけるために「とにかく歩きなさい」と言われたとき、
その裏にある意図を正しく理解しながら、もっと戦略的に運動を選ぶことが大切です。

白石

医師の“歩きなさい”という言葉の奥には、「とにかく動き続けてほしい」という願いがあると思っています。でも、専門家としてはそれを“形にする”のが仕事です。

リハビリは「知って、動いて、続ける」こと。
科学的な根拠に基づいたプログラムを選び、あなた自身に合った方法で、長く、安心して続けていきましょう。

参考文献

Effect of Exercise Therapies on Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.
https://doi.org/10.1155/2020/5046842

よければシェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

本記事の構成